泡と兎と首飾り 猫十字社

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泡と兎と首飾り―猫十字社傑作集 (BBMF BOOKS)

泡と兎と首飾り―猫十字社傑作集 (BBMF BOOKS)

数年前に発刊された、猫十字社の、あちこちの出版社に掲載された作品集。
かなり昔の作品も有りますが、全体の半分位を絞めるシリーズ物の「水酔放浪記」は2008年の作品です。

休載中のかの名作、「幻獣の國物語」が、アップルミステリーの廃刊に伴って休載となってから、もう20年くらいか?
現在、小説で続きが少しでたらしいけれど、やはり漫画で読みたいので小説は読んでいません。

同じ雑誌に掲載されていた他の看板漫画はみんなあちこちで連載を続けてるんだけどなああ。
この間、紫堂恭子の新作漫画の掲載誌(ネット雑誌)が廃刊になって新しい雑誌に掲載替えになったら、その雑誌がかつてのアップルミステリーの連載人をかき集めた感じ。

どうやら猫十字社さんは精神的に少し病んでしまって、漫画を書ける状態ではなかったらしく、それらの日々を「ねこつぐら島」というエッセイマンガに、休載後数年したところで書いていたのですが。

だいぶ回復したみたいな書きっぷりだったけど、その後全く連載する気配がなかったので、この本に収録されていた水酔放浪記を読んで、&のため息をついた物です。
願わくば、一日も早く幻獣を再開して欲しい・・・。

今回この本の紹介記事を書こうと思ったのは、昨年必死で床の上の本を自炊して、本棚に隙間もできたはずなのに、いつの間にか元の木阿弥状態に戻って来てしまい、本棚から裁断候補を選出した中に入っていたからなのです。

それで、手に取って読んでたら、なんか裁断するのが惜しくなって来てしもうた・・・。
なんというか、かめばかむほど味のでるするめみたいな話ばかりです。

さらりと読むと、起承転結の起伏が地味で、受ける花時じゃないんだけど、言葉の意味を噛み締めるとか、書き込まれた絵をしみじみ味わうとか、そういう本の読み方が好きな人にはたまらない話ばかりになっています。

水酔放浪記は、作者の、「ねこつぐら島」をファンタジーとして昇華させたような内容の話になっています。
あの本を読んでから読むと、ああ、ここまで来れたんだねえ、という感じです。

でも、心の中の葛藤のドロドロが表に出ているわけではなく、不思議な深いファンタジー世界に引っ張られる感じ。
気持ちよく、異次元世界で遊べると言うか。「銀河鉄道の夜」の、アニメーション映画の世界にちょっとにてるかなあ。印象が。

その他の昔の作品は時代も背景もとりどりなのですが、思いっきりバブリーな時代を背景にした「ビーナスの腰掛」は、普通の漫画として呼んでも面白かった。
以前読んだときは僧でもなかったんだが・・。本の数年でまるくなったんかなあ。
泣けてしまうのは、これ作者の体験談なのかなあ、という漫画家のお話、「日々の泡」
最後の方で、田舎の母親が娘に送った荷物の中身。
マーマレードホットケーキミックス、手作りのがしがしのクッキー、瓶詰め缶詰、サランラップ、シャンプーリンス・・・
私が学生時代にひとりぐらしをしていたときに実家の母親が送って来た荷物にそっくり。
クッキーじゃなくて手作りのお惣菜系だったけど。

こういう風に、昔買った本を読み返してまったり外の嵐の音をぬくぬくホットカーペットの上で聞く、久方ぶりの仕事が(ほとんど)ない休日。
至福なり。

酒も有るし。




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