Heaven?
Heaven?―ご苦楽レストラン (1) (ビッグコミックス)
- 作者: 佐々木倫子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: コミック
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「動物のお医者さん」
で一躍有名になった売れっ子漫画家、佐々木倫子氏の作品。
佐々木倫子氏も私の青春時代を彩る、大好きな作家。
「花とゆめ」でデビューしてからずっとファンだった。
この人と、川原泉、河惣益巳、その他沢山の、個性あふれる画風、作風のキラ星のような作家がぎっしりつまっていて、あの当時の白泉社の雑誌が少女漫画界の最盛期であったろう。
・・昔話を始めると長くなる。今日は仕事で疲れきっているのだ。
この漫画は、小説家が一応本業の食べる事が大好きな女性が、副業にフレンチレストランのオーナーをやろうと、店舗を借りて、スタッフをかき集めるところから始まる。
しかるに、素人オーナーにして、どこまでもゴーイングマイウェイなオーナーの選んだ店舗ときたら、墓地の中の一軒家、どの駅からも徒歩10分以上かかるというとんでもない物件。
その物件を選んだ理由が、「ボタンの花が美しいから」
ボタンが咲くのは1年のうちたったの1ヶ月だ!とスタッフの突っ込みが入り、レストラン勤務の経験があるのはただ一人という、この上なく危なっかしい門出。
シェフは、腕はいいけど行く先々で店を潰してきたと言う伝説を持つ縁起の悪いシェフ・・・。
私は、自分でおいしい物を作るのはもちろん好きだが、おいしい店で、その店でご飯をおいしく食べる為におしゃれして出かけ、「レストラン」を楽しむのも大好きだ。
それを私は「レストランごっこ」と呼んでいる。
そういうときに出かける店はもちろん、チェーン店などではない個人経営の店で、シェフの料理の腕がいいのはもちろん大事だが、それ以上に大事なのはスタッフの質だ。
外食産業は全てそうだろうが、1食1000円そこそこの定食を食べるのと、1食に万単位の金をかける「レストランごっこ」を、おなじ「外食」に括る訳にはいかない。
1000円定食は空腹をなだめられれば、たとえまずかろうがスタッフの質が悪かろうが、次から二度と行かない、でけんかも売らずに出て来れるが、「レストランごっこ」でこれをやられた日には!
それにしても昨今の外食業界はどうなってしまったんだ。
ただ値段が高ければと言うような店はどんどんつぶれろと思うが、なんと言うのか、どこを見ても、一見、個人経営の店っぽくても、だれか資本家がそれらしく資金を出して作った店、と言う感じの店ばかりになってしまった。
この手の店にうっかりレストランなつもりで入ると、本当にげんなりだ。
メニュー・・なんか、流行ものっぽい感じの、原価計算一生懸命やっていて、見栄えもいいですね、って感じの可能な限り量の少ない皿が出てくる。味?まずくはないが、感動するほどおいしくもない。
食器は床にたたき落としてもきっと割れない類いの代物だけど、ちょっと見高級に見えるもの。
一見、ビニールに見えない合皮のソファやクッション付きの椅子。
一見、ビニールかこうされていないかのように見えるテーブルクロス。
一見・・・・
こういうのばかりが雨後のタケノコならぬ、梅雨時のキノコのように生えてくると、この漫画に出てくるような、「レストランを作る」為に奮闘している姿をほのぼのと眺めてしまう。
私にとっての「Loin d'lci」が、うちの近所にできてくれないかなあ。
フレンチ、会席、懐石、イタリアン、タイ料理それぞれで。