日出処の天子

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白泉社文庫がブックオフで105円で売っていたので一気買い。
この作品は、中学時代に連載していて、最も作品を知ったのが、もう本編が終わろうとしているところだったので、雑誌に掲載されているのをわくわくしながら読んだのは短かったが、最後の番外編、最初のコミックスで11巻だったかの最後の巻がでたのを待ちかねて購入し、学校帰りのバスの中で読んだ事を今でも覚えている。

今は、同じ作品のコミックスの背景色は同じ色で統一するのが普通になったが、あの当時、作品の雰囲気に合う、渋い深緑色で全巻統一したコミックスは珍しかった。
私の初の山岸凉子作品体験が、この「日出処の天子」だった。

小学生から高校生にいたるまで、乏しい小遣いのほとんどを漫画の購入に費やし、大学入学で都内に出て行く時、なくなくそれらの漫画のほとんどを古本屋に処分したのだ。
まだ、当時はブックオフなんてモノは無かったしインターネットも日本では学者くらいしか使ってなかったので、電話帳で家までとりにきてくれる古本屋に連絡し、二束三文で2千冊近い漫画本が売られて行った。
涙が出た。

その後、「自分で漫画本を所有」
することは、置き場所と言う制約からして無理だと悟りを無理矢理開き、近所の漫画喫茶に通えばいいと、ルールを決め、
購入した漫画も一定量を超えたら古本屋に売る事に決めていた。

・・ScanSnapに出会うまでは。
私がPCの世界に足を突っ込む事になったのが大学時代。
まだ、インターネットの黎明期で、普通の人はパソコンなど持っていない時代だった。
全く持ってる人がいない訳ではなく、
途中Win95の発売がニュースになったくらいだから、本当にPCが家電となって行く走りの時期だった。

その当時、PCを買う事に心を決めたのは、
「PCがあれば、本を捨てなくて済む!狭い家に住んでいても、大量の本をいつでも好きなときに読める!
しかもOCRソフトがあれば、文字の電子化すらできてしまって、調べ物のときに用語検索できる!」

・・・スキャナと、MacLC6430、そしてプリンタ、メモリの増設を一気に行った。
メモリは、忘れもしない、Simの16Mが、5万もした・・・・!

そして、学生にはとても高価なその買い物で、わくわくしながら行ったスキャン・・。
無惨だった。
フラットヘッドの巨大なHPのスキャナは、1枚のA4カラー原稿を読み取るのに、たっぷり5分はかかった。。。

かなしい、本を買うのを制限する日々が戻った。
何年も。

そして、月日は流れ、世の中は進歩した。
どこのどいつが日本はもう終わりだなどとぬかしとるんだ!
昔は良かっただと?

きっちり、その「むかし」の生活と、現在の「生活」を比べてみんか!
「むかし」で暮らす事など、どうせ選ばないくせに!!!

例によって、前置きが大変長くなった・・・。
あの時手放した漫画本のなかで、購入したときの様子を克明に覚えている、大事に大事にしていた本だったから・・。

このお話は、天皇を崇拝する右寄りのまじめというか、融通が利かないと言うか、と言う人たちには昨今評判がよろしくないようである。

天皇の息子である、聖徳太子を、蘇我馬子との同性愛の超能力者として描いている事が原因だ。

・・もちろん、昨今の犬HK大河ドラマのように、どこぞの基地外国家の人間が、天皇と皇族を貶める事を目的として書いた、って言うなら怒るのも無理ないけど。
この漫画のような物を天皇に対する不敬だ!などとやったら、それこそ表現の自由に対する弾圧だろう。
フィクションである事は明白で、例の大河ドラマのように、「これが真実だと思わせようとする」ステマの意図などありはしない。
日本人は誰も聖徳太子が実際このような人物だなどと思うはずが無く、純粋に物語として楽しんでいる訳だし。

・・・外国人がこんな物を読んで本気にしたらどうする!

系のあほな理屈をこねる連中を、この作品に限らず時々見かけるが、小説だの、映画だの、漫画だのを見てそれを真実だと思い込むような馬鹿の面倒を見る事を前提に創作活動などできるか!
そんなのは、アメリカ・ヨーロッパ・中東辺りだけでやっとればいいのだ。
あれらの国の底辺連中の脳みそときたら、忍者映画を見たら本気で忍者がいると思い込むような、立派な知的障害者レベルの低能ときてるからねえ。大げさでなく。

やれ、キリストを侮辱したの、マホメットを侮辱したの、道徳的ではないの・・。

言ってる事ややってる事が、
「自分の価値観以外は認めない、自分の価値観から外れる人間は殺していい」
が基本となってる。
真性の基地外だ。

さて、そういう基地外に煩わされる事無い幸せな日本人は、創作物としての歴史漫画を堪能しよう。
この作品は、とにかく物語として面白い。
日本人なら誰でも知っている、古代日本王朝のスーパースター聖徳太子と、蘇我氏物部氏との権力争いを背景に、
よくぞここまで新鮮に、スペクタクルに仕上げた物だ。

登場人物のキャラがあまりにも立ちすぎていて、もはや歴史上の人物を考える時、この作品の中野人物に当てはめてしまう弊害は、確かにあるw

そして何より、少女漫画の世界に、新境地を開いたこの作画!
カラー原稿の美しい事・・。

今、カラーの扉絵を眺めても、本当に美しい・・。
日本画のような色彩、描画。
もちろん、ただ日本画の真似をして絵を描いた訳ではない。
その辺の画家の絵より、山岸さんのカラー原稿の方が比較にならないほどすばらしいだろう。

物語自体面白いが、この物語の中心を為す、政治の話。
これは、小学生あたりからこういう世界になじませておく事が日本人にとって大変価値ある事だと思っている。

聖徳太子が、蘇我氏に対して助言する、唐や、随などの諸外国に対する政策、政敵に対する手の打ち方。
この手の狡猾さは、普通に暮らしている日本人がぼやぼやしていたのでは、得る事が難しいものだ。

それを、楽しみながら身につける事ができる。
私に子供がいたら、小学校3年生くらいで読ませる。絶対。
まあ、蛦人と、厩戸皇子との濡れ場について聞かれたら、
「大人になったらわかる」
で煙に巻くけどね。
それでいいんだよ。子供の目から何でも隠せばいいと言う物ではない。
今時の、丸ごとポルノみたいな少女漫画とは違って、直接的な行為は書かれてないんだし。
徐々に耐性をつけさせる方が、完全遮断で育てて行くより安全だと思うけどなあ。


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