蛍火の杜へ

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

愛蔵版 蛍火の杜へ (花とゆめCOMICSスペシャル)

愛蔵版 蛍火の杜へ (花とゆめCOMICSスペシャル)

近所のブックオフのセールで80円でゲットだぜ!
愛蔵版のほうの「蛍火の杜へ」です。

普通の白泉社コミックで、以前漫画喫茶で読んでいい話だと思っていたのだが、いかんせん読みたい話がこれだけで購入に踏み切れなかったんです・・。

読んだの何年ぶりだろう。

愛蔵版には、特別編で蛍火のお話がもう一個載っています。

緑川ゆきさん独特の、切ない系の心あたたまるお話です。

こんな短いお話なんですが、アニメ化されてDVDも出てるんですよねえ。
夏目友人帳のアニメは、いまいちわたし的にはあまりのめり込める出来ではなかったけど、こっちはどうなのかなー。
緑川さんの絵柄はアニメ化に向いているとは言いがたい難しい絵柄だし。
声優の声も、主人公の夏目、にゃんこ先生ともども私のツボから外れていたのでどうにもならないんだよねえ。

とはいえ、夏目も、蛍火も海外の日本好きの人たちの間では評判上々みたいですね。
緑川さんの描く、ごくごく普通の日本の日常、日本の風景というのは、日本が好きな外国人からしたら、新鮮な美しい世界なのでしょう。
日本人が見ても美しい世界ですからねえ。
舞台としている世界が、トトロとはまた違うけど、別の作家が同じモデルを使って描いた絵のようです。
日本民族が、地域の差分を超えて民族共有の「風景」を共有しているということの奇跡を、この手の物語に出会うたびに思い知ります。

日本の山
夏の山の濃い緑。
神域
妖怪
お祭り
夏の日のワンピース
オカッパ
狐のお面
夏祭り
どんどこどん
制服
ゆかた
・・・・・・・

誰もが思い描く、地域により人により違っているのに、同じ象を結ぶ「日本」の記憶。

これがあるから、日本が生み出す物語は日本語という限定された1民族の中でだけでも発達することができたんだなあ。
よく、日本語での出版が、人口が1億超という規模があるからペイするのだ、という話を聞きますが、それはあまり重要ではない理由の一つだろうと思います。
だって、今の人口の半分にも満たなかった江戸時代だって、世界有数の質量ともに1,2を争う出版大国だったし。
「XX文学」という言葉で特定国名を冠した言い方がありますが、単にXX人の作家が作者の文学のまとまり、というだけでなく、その国の作家でなければ描けない独特の世界を持った上での「国名文学」といえるものって、大してない。
アメリカ文学、だの、カナダ文学、だのに、アメリカ独特の個性とか、カナダ独特の個性、と言われてもピンと来ないしなあ。
日本文学、というのはそういう意味でも独特かつ特異な例なんですねえ。

短いお話なのであまり詳しく物語のあらすじを書くとつまらないので、設定のさわりだけ。
赤ん坊の頃山に捨てられて、山神様の情けで人間ながら半妖怪みたいな状態で生きてきたギンは、人間に触れられると消滅してしまうという運命を背負っています。

子供の頃迷い込んだ山で、ギンに助けてもらって人里の入り口まで送ってもらい、その後夏がくるたびギンと過ごしてきた女の子、蛍とギンとの、恋物語・・。

このあとに発表される夏目友人帳の世界の「芽」というべき世界がこの作品で既にはっきりと形をとっているなあ。

この人、なんでこうも人の心を鷲掴みにする物語をつくれるのだろう。
何から何まで淡々とした話運びなのに。

最後で、ギンが、
「来い 蛍 やっとお前に触れられる」
といった時の、あの表情。

泣きそうになりましたよ・・。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ