ニッポンの評判

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今井佐緒里編の、各国に居住しているとか、日本に来ている外国人と交流のある
人物が日本の評判についてのレポートをまとめた本。

私にとって突っ込みどころ満載だった項目は、1章「クールジャパンへのまなざし」
の『「HENTAI」ポルノは世界標準』−渡辺真由子
と、
3章「誤解と幻想を超えて」のフィンランド編ー靴家さちこ

の2点。まず1点目から!

『「HENTAI」ポルノは世界標準』−渡辺真由子

概要「・」アンドツッコミ「→」
・日本のポルノは海外で引っ張りだこ
→へーそーですか
(でも、それぞれの国で作られたポルノと日本産との売り上げ比率数字ないんですが。)

・日本のAVのレベルは海外産に比べて大変高度だ
→なぜかの考察をしている。
AV業界が日本の厳しい規制の元、直接的表現ができない代わりに編み出した手練手管が高度に発達。ただ行為を撮影しただけの稚拙な海外産と違って、ストーリー性があり、感情移入ができる。
なるほど〜。ま、ただの丸出しポルノじゃ日本人は欲情できんでしょうな。確かに。

・日本のポルノが外国人に与える日本女性、男性イメージ形成への影響について
→北米のポルノは、女性が「たのしそうに」セックスに励む画像でないと、当局の取り締まり対象になってしまうのだそうな。
ブッシュが政権が性を神格化(笑い)するその思想に基づき、暴力的なポルノへの規制を強めたせいで、受け身だと女性虐待の疑いをかけられるとかで。
その結果、日本女性がポルノのせいで「好き者」で、「男性の言いなりになる」と思われてしまう、と作者は言っているのだが・・。
いや、日本人でも、AV知識のみ豊富な生身の人間相手のバージン男女に、AVと同じことをほんとにやるのだと思っている人がいる、というのはあるけど。
それ「ほんとにあった笑っちゃう話」とかのネタになるような笑い話じゃないか・・。
本文引用:
「少なくとも、北米の女性とは対照的だと思われている事は間違いない。(中略)北米のポルノで女性が性交の「共犯者」なら、日本のポルノで女性は性交の「被害者」だ。このようなポルノを見た海外の男性は当然、日本人女性は簡単に性交渉に応じ、従順で何でもしてくれる、と言った妄想を抱く事になる」

だそうな。
日本人ほど一般大衆の知的レベルが高い国は地球をひっくり返しても無いのはわかってる。
北米・ヨーロッパ・その他の国々の上位1%程度しかいない一部エリートを除く一般大衆の知的レベルは絶望的だとは思うが、
「ポルノ映画の中の出来事がフィクションではなく事実なのだ」
と思い込む人間が大半だとしたら、恐ろしい低知能人間社会と言わざるを得ないと思うのは私だけだろうか。
あげく、著者は「不幸にもポルノを目にしてしまった日本女性たちは、どうやら「教育」され、自らの尊厳を主張する事を忘れてしまったらしい。」と言っている。
これは、性交時のテクニックに絡んだことを言っているのだが、外国人の彼氏に、
日本人の彼女がご披露したテクニックが彼氏に引かれてしまった、という一事に対する著者の所見である。
言わせてもらえばそんなの個々人の好みの問題で大きなお世話である。
もちろん統計なぞのってないが、仮に統計がとれたとして、
「北米人男性、女性が(ホニャララテクニック)をするのは女性の尊厳を侵すテクニックであると思っている」との結果が出たら、
「ごめんなさい。改めます」とでも言う気だろうか?
寝室の中で夫婦や恋人同士がどんな痴態を演じようと、
本人同士がいいと思ってればそれでOK。
他人や、まして政府が口を出すような事か、ガキじゃあるまいし、あほらしい。
特に欧米連中に顕著だが、事あるごとに表現の自由がどうのと言い出すくせに、
自分たちの常識から外れるとなると、とたんにダブルスタンダードになるのはお笑いである。
どうも日本人というのは、何か外国人に非難めいたことを言われるといきなりその通りでございますとご意見承ってまともな反論ができない輩が多いのはどうにかならんのか。
キリスト教圏文化には元から、本音を隠して「性」を抑圧
(神格化というか、私は高尚だからそんな事に興味ないという情けないフリ)
してきた歴史と、ウーマンリブの青臭い思想が絡まって事「性」に関する文化が非常に稚拙で貧しい。
別に、日本のポルノに出てくるようなテクニックを実際にやるのがすばらしいとは(私は)思わないが、
「日本人はポルノAVを本気にするようなおぼこいお粗末脳みそは持ち合わせてないし、江戸時代には既に48手の浮世絵が出回っていたような「豊か」な「性」の文化があるんだよ、あんたら性文化発展途上国と違って」
ぐらいの事は言えないのだろうか。

・日本人はシャイな性格で、ハグやキスもしないのになぜポルノを好むのか
→上記の質問に、著者は「確かにそうである。挨拶替わりのちょっとした身体的接触すら避けるのに、究極の接触であるセックスに関する情報には抵抗を示さない」
と書いている。
どっから突っ込むべきか。この定義は2つの前提条件の破綻がある。
まず一つ目
「実際に」身体的接触を「する」行動と、身体的接触に関する「情報」を同列に並べていること。
これは、「特定の「行動情報」を好むのであれば、現実世界で必ず情報通りの行動をとるのが正常な状態である」と信じ込んでいなければ出てこない話だ。
フィギュアスケートを見るのが趣味だという人は、必ずフィギュアを実際にやるのが世の理なのか?

「日本のポルノに強姦と痴漢をテーマにした物が多い」と書いてあるので言わせてもらうと、脳みその軽い女性蔑視主義者が、レディコミで強姦ものが掲載されている事を理由に「女はほんとは強姦されたがってるんだ」なぞと言い出すのと同レベルである。
当たり前だが、実際に「強姦」するのを「楽しむ」(犯罪だよ)のと、「強姦」をテーマにした「情報」を「娯楽として楽しむ」事は全く別次元の話だ。
実際に強姦されてうれしい女性などいない。
ではなぜ「情報」は楽しめるのかと言えば、「情報を楽しむ側が情報の内容を支配している」からだ。
強姦する相手も、その方法も、楽しむ時間も全て「情報を楽しむ側が」決めている。
(作者が作ったとしても読む読まないを決めているのは読者だ)
当然、ほんとの強姦は全て相手が、女性の意思を無視して決めている訳だからうれしくも楽しくもあろうはずが無い。恐怖があるだけだ。それだけの事だ。
男性の場合はまた少し違う。
確かに、生物として、オスがメスに性交を強要しないと種が断絶するからという行動原理の名残はある。
ただし、それは人類ではなく、「おさるさん以前」だったときの話である。
人類は、犬猫のようにぼろぼろ子供を作る事も、生まれたときから歩けるような状態の赤ん坊を作る事も生き残り戦略として放棄した。
「家族」を作り、脳を巨大化させ、家族のチームワークで子供を長い時間掛けて教育する事の方が生き残りの確立を上げると判断し、そのように進化した。
それを破壊する「強姦」や「浮気」はオスにとっても既に本能的タブーになっている。
(浮気は男の本能なんて大嘘である。単に自制心が無いだけだ)
「人類の」オスにとっての本能を考えれば、やはりオスにとっても「本当の強姦」は「楽しい事」ではなく、自分で楽しみ方を支配できる、「情報としての強姦」が娯楽になる訳だ。

「情報を好む」事と、「好んだ情報を実現させる事」に全く相関が無いとは言わないが、情報は情報、行動は行動である。
「金持ちになりたい、試験で一番になりたい」と思っても(情報を楽しむ)、その為に実際必要な行動をとる人間は一握りだ。


二つ目は、関連性の無い事柄を関連性があるかのごとく並べている事。
ハグやキスと、ポルノの事だ。
社会文化的行動習慣(ハグやキス:ビズの方)と、全生物が本能として持っている生殖行動(ポルノ)を、片方がもう一方の前提条件として必要であるかのごとく扱っている。

ハグって、挨拶でしょ? 文化によって握手するとこもあるし、お辞儀するとこもある。握手をする習慣がある国同士だって、方法に違いがあったりする。
それは文化習慣であって、生殖行動の前提条件じゃないじゃんか。
キスもそう。
どちらも、意味も方法も違うけど、生殖行動の過程の一部に含まれるから、
混同してしまってる。
「キスもハグもしないのにポルノを好むのはおかしい」(そう記載してはいないが、そういう意味にしかとれない)
という言い方が成り立つなら、
「キスとハグをするから欧米人は全員公衆の面前で毎日恋人でもない人間同士で欲情してポルノプレイをしている」
といって差し支えないと言える。
んな事言ったら、「ハグやビズはヨーロッパの挨拶文化だ!エロ日本人が邪推しおって!!」と火吹いておこる事間違いなしだ。

「日本人はシャイな性格で、ハグやキスもしないのになぜポルノを好むのか」
こんなアホな質問をされたら、
「へー、挨拶だなんて言ってたくせに、やっぱりハグもキスもポルノ替わりのセクハラじゃん。日本人は公共の場で、恋人でも無い相手にポルノプレイなんぞしないんだよ、文化的だから。」
と切り返してやりましょうね!

ニッポンの評判―世界17カ国最新レポート (新潮新書)

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